講師コラム

読む・考える

2018.10.10堀内コラム「堀内道場」

 質問の目的が、理解しようから答えを知りたいだけになっていませんか。質問に答えている先生だけが、その問題を解いているなんてことになっていませんか。分からない問題を質問することは大切です。しかし、問題文を読んで、すぐにわからないから質問に行こうでは力はつきません。考えるという行動が抜けています。

 答えまでの近道がすぐに見つからない⇒すぐ解けない⇒この問題は分からないとしていませんか。問題文をしっかり読めていないがため、大切な情報を読み落とし、問題が解けないとしていませんか。授業ノートや解答解説が読めないのも心配です。

 先生がほとんど解いた説明を見たり聞いたりするだけでは、わかった気になるだけで、解けるようになっていません。自分の力で解く練習をしなければ本当の理解につながりません。質問すること自体は立派です。しかし、その後にもう1度自分の頭で考え、それでも分からなければまた質問する。それをくり返すうちに、どこが理解できていないのかが分かるようになってきます。

 新井紀子さんの著書“AIvs.教科書が読めない子どもたち”の中で、中学校の教科書の文章を正確に理解できない中高生の調査結果が紹介されています。係り受けに関する力を確かめる設問で中1の正答率は23%しかありませんでした。文中にある愛称あいしょうの意味が分からないなど理由は様々ですが、想像以上に子どもたちが文章を理解できていないことに驚かされます。

 最近、国語の試験監督をしていると、注釈の注釈が必要な子がいます。また、落ち着いて問題文を読めば防げるミスがほとんどです。算数の問題なら線を引く、数値を○で囲むなどもう一度設問の読み方を確認しましょう。